【大根先生監修!】日本語教員試験 問題対策

日本語教員試験の試行試験と第1回試験で出題されたテーマを厳選した一問一答! 大根先生が試験を分析し、5分野を網羅した全20問で、試験直前の最終確認に活用できます。
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日本語教員試験、試験直前の最終確認はお済みですか?

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【目次】

設問形式10問
 【社会・文化・地域】
 【言語と社会】
 【言語と心理】
 【言語と教育】
 【言語】

本番形式の問題文 2セット
 日本語教育の参照枠に関する文章
 2人の日本語教師の会話(反転授業)

出典 一覧

大根先生紹介

【社会・文化・地域】

問1ー

2020年8月に出入国在留管理庁・文化庁が作成した「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」にて示された「やさしい日本語」の作り方のポイントとして不適当なものを、次の①〜④の中から一つ選べ。

①:尊敬語、謙譲語は使わず、敬語は丁寧語だけにする。
②:動作の重要性を強調するため、受身形や使役表現をできる限り使う。
③:接続詞で文をつないでいくとわかりにくくなるため、3つ以上のことを言うときは、箇条書きにする。
④:外来語(カタカナ語)には、原語と意味や発音の異なるものが多いため、できる限り使わない。
解答・解説

解答:②

2020年8月に出入国在留管理庁・文化庁が作成した「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン(https://www.moj.go.jp/isa/support/portal/plainjapanese_guideline.html)」は、書き言葉に焦点を当てたガイドラインである。その中では、「行動の主体(視点)がわかりにくくなるので、受身形や使役表現をできる限り使わない。」とされている。

「やさしい日本語」は、普通の日本語よりも簡単で、外国人も分かりやすい日本語のこと。注目されるようになったきっかけは、1995年に起きた阪神・淡路大震災だと言われている。現在では災害時だけでなく、自治体の生活情報、医療、観光などさまざまな場面で使われている。

ー問2ー

「グアン式教授法と呼ばれる直接法」を台湾において採用し、その後、朝鮮、満州でも日本語教育に当たった人物の名前を、次の①〜④の中から一つ選べ。

①:山口喜一郎
②:伊沢修二
③:岡倉由三郎
④:大出正篤
解答・解説

解答

台湾での日本語教育の創始期は、伊沢修二が主導した台湾語による「対訳法」が行われていた。これに限界を感じた山口喜一郎が、グアン式教授法と呼ばれる「直接法」へと切り替えていった。

【言語と社会】

ー問1ー

カナル&スウェイン(M. Canale & M. Swain)は、「コミュニケーション能力」を文法能力、談話能力、社会言語能力、ストラテジー(方略的)能力の4つの能力から成り立つとした。「談話能力」の説明として最も適当なものを、次の①〜④の中から一つ選べ。

①:会話や文章において結束性・一貫性のある意味のまとまりを形成する能力
②:社会習慣に基づいて、相手や場面に合った、適切な表現を使用できる能力
③:コミュニケーションが滞った場合、言い換えなどにより会話を維持する能力
④:語や文法、話、表現などを正確に組み立て、使用できる能力
解答・解説

解答:①

選択肢2は「社会言語能力」、選択肢3は「ストラテジー(方略的)能力」、選択肢4は「文法能力」の説明である。

ー問2ー

「アサーティブ・コミュニケーション」の説明として不適当なものを、次の①〜④の中から一つ選べ。

①:1900年代後半のアメリカでは、ジェンダーや人種差別のトラブルが社会問題となっており、それを是正するために活用されて社会に広まった。
②:互いの意見や立場を尊重し、自身の気持ちや考えをはっきりと伝えるコミュニケーション技術である。
③:アサーティブ・コミュニケーションの4つの柱は、「率直・対等・誠実・多様性」である。
④:自分を主語にして気持ちを伝える「I(アイ)メッセージ」を使って、相手を責めずに自分の状況を説明すると効果的である。
解答・解説

解答:③

「アサーティブ・コミュニケーション」の定義は選択肢2の通りであり、その4つの柱は「率直・対等・誠実・自己責任」である。アサーティブ・コミュニケーションは、異文化コミュニケーションにおいて重要なスキルの一つとして注目が集まっている。

【言語と心理】

ー問1ー

言語学習に対する動機づけは、社会文化的な観点から「統合的動機づけ」と「道具的動機づけ」に分類される。「統合的動機づけ」の例として最も適当なものを、次の①〜④の中から一つ選べ。

①:日本語能力試験でN1を取ると、給料が上がる。
②:将来、日本で働くために日本語が必要だ。
③:より高いレベルの日本語を習得して、良い仕事を見つけたい。
④:日本のアニメが好きで、日本の文化を理解したい。
解答・解説

解答:④

「統合的動機づけ」は、目標言語の社会や文化を理解したい、そこに参加したいという目的で言語学習する動機づけのこと。

選択肢1〜3は「道具的動機づけ」の例である。道具的動機づけは、就職や進学に有利、金銭的利益を得るなどの実利的な目的で言語学習する動機づけのこと。

令和6年度 日本語教員試験では、動機づけに関する問題が基礎試験、応用試験(読解)どちらにも出題されているため、必ずおさえておきたいテーマである。

ー問2ー

コミュニケーションの行き違いを防いだり修正したりするための「意味交渉」のうち、「確認チェック」の例として最も適当なものを、次の①〜④の中から一つ選べ。

①:「僕の話、分かりましたか」のように,相手が理解できたか確認する。
②:「じゃあ、入院していたんですね」のように,自分の理解が正しいか確認する。
③:「それは、どういうことですか」のように,理解のためにさらに情報を求める。
④:「よく分からなくて,すみません」のように、理解できなかったことを謝る。
解答・解説

解答:②

「意味交渉」は、会話で意味が通じないときに意思疎通しようと工夫する対話のこと。この中には、「明確化要求」「確認チェック」「理解チェック」の3種類が含まれる。

選択肢1は理解チェック、選択肢3は明確化要求の例。選択肢4は意味交渉ではない。

「確認チェック」と「理解チェック」は混同しがちなので、区別できるようになっておく必要がある。

【言語と教育】

ー問1ー

著作物を利用する際に、著作者の許諾を必要としない場合がある。日本語教育が関わる場面で、その条件に最も当てはまるものを、次の①〜④の中から一つ選べ。

①:パブリックドメインとなった小説をコピーし、授業で学習者に配布する。
②:学校のウェブサイトに、有名なイラストレーターのイラストを掲載する。
③:学習者に自律学習を促すため、試験対策問題集を全てコピーして配布する。
④:地域の日本語教室で、テレビの教育番組を録画したものを学習者に配布する。
解答・解説

解答:①

パブリックドメインとは、著作権の保護期間を経過したり、著作権が放棄されたりして、著作物が社会の公共財産になり、誰でも自由に利用できるようになった状態をいう。著作権が消滅した小説は、誰でも無許諾で使える。

令和6年度 日本語教員試験では、著作権に関する問題が基礎試験、応用試験(読解)どちらにも出題されているため、必ずおさえておきたいテーマである。

ー問2ー

他者のシラバスや教案などをそのまま使うような受け身的な姿勢ではなく、学習者に合った教材や教室活動を自ら創造し、内省を通して自己成長を続けていく能動的な教師のことを(ア)という。このような教師を目指し、教師としての専門性を高めていくためには、(イ)を行うことが推奨されている。

文章中の(ア)と(イ)に入れるのに最も適当な組合せを、次の①〜④の中から一つ選べ。

①:(ア)オートノマス・ラーナー /(イ)アクション・リサーチ
②:(ア)オートノマス・ラーナー /(イ)プロセス・アプローチ
③:(ア)自己研修型教師 /(イ)プロセス・アプローチ
④:(ア)自己研修型教師 /(イ)アクション・リサーチ
解答・解説

解答:④

1990年代以降、日本語教師の養成や研修において「教師の成長」という考え方が注目されている。「自己研修型教師」「アクション・リサーチ(教師が自らの授業内外の関心事をテーマとして行う実践研究)」はセットにして覚えておきたい。

なお、「オートノマス・ラーナー」は、自分の学習を自分で管理し進めていく自律的学習者のこと。「プロセス・アプローチ」は、書く過程全体を学習としてとらえ、下書きと推敲を重ねて作文を完成させることを指導原理とした作文指導法のこと。

【言語】

ー問1ー

テ形は、日本語の動詞の活用形の一つである。辞書形からテ形を作る場合、Ⅰグループは、動詞の辞書形の最後が(ア)の場合は「〜んで」、(イ)は「〜いで」となる。

文章中の(ア)と(イ)に入れるのに最も適当な組合せを、次の①〜④の中から一つ選べ。

①:(ア)す /(イ)ぐ
②:(ア)む・ぶ・ぬ /(イ)う・つ・る
③:(ア)す /(イ)う・つ・る
④:(ア)む・ぶ・ぬ /(イ)ぐ
解答・解説

解答:④

テ形は、日本語の動詞の活用形の一つである。辞書形からテ形を作る場合、Ⅰグループは、動詞の辞書形の最後が「う・つ・る」の場合は「〜って」、「む・ぶ・ぬ」の場合は「〜んで」、「く」は「〜いて」、「ぐ」は「〜いで」、「す」は「〜して」となる。ただし、「行く」は例外で「〜って」となる。Ⅱグループは、「る」を取って「て」を付ける。

ー問2ー

学校文法と日本語教育の文法における活用の体系に関する記述として不適当なものを、次の1〜4の中から一つ選べ。

①:学校文法では、普通体に基づいて活用の体系が整理されている。
②:学校文法では、単独で文節を作れる語のうち活用するものを三つの品詞に分けている。
③:日本語教育の文法では、「見ない」と「高くない」の「ない」は異なる品詞である。
④:日本語教育の文法では、活用形の種類が学校文法より相対的に多い。
解答・解説

解答:③

選択肢3は、日本語教育の文法ではなく学校文法のことである。学校文法では、「見ない」の「ない」は助動詞、「高くない」の「ない」は「形容詞」に分類される。

学校教育の国語科で教えられる文法のことを、日本語教育の文法とは別に「学校文法」という。これは、橋本進吉の文法論をベースに形態を重視したものである。

なお、選択肢2について補足すると、学校文法では「単独で文節を作れる語(=自立語)のうち活用するもの」を動詞・形容詞・形容動詞の三つの品詞に分けている。

【文章問題1】日本語教育の参照枠に関する文章

次の文章を読み、後の問い(問1~5)に答えよ。

令和3年10月に文化審議会国語分科会にて「日本語教育の参照枠」が取りまとめられた。その背景には、a日本国内の在留外国人の増加・定住化が進み、b日本で就労する外国人も当時過去最高を記録するなど、教育や就労などに必要となる多様な分野の日本語が求められるようになってきたことが挙げられる。

「日本語教育の参照枠」は、c言語・文化の相互理解・相互尊重を前提として、学習段階に応じた教育内容などを示し、個々の日本語学習者に応じた日本語教育を継続的に受けられるようにするための、日本語教育に関わる全ての人が参照できる、日本語学習、教授、評価のための枠組みである。「日本語教育の参照枠」には、言語を使ってできることを「~できる」という形で示した文である言語能力記述文が約 500 項目示されており、これらは「 Can do(Can do statements の略)」と呼ばれる。

d「日本語教育の参照枠」では、CEFR のレベル尺度や指標をほぼそのまま用いている一方で、日本語の特徴である文字やe漢字の学習方針について示すなど、日本語教育の現状に応じた内容となっている。このようなレベル尺度や指標、方針などを国内外の日本語教育機関が参照することによって、日本語学習者が日本語を学ぶ場を移動しても、円滑に学習が続けられる環境の整備が進むものと考えられている。

ー問1ー

文章中の下線部aに関連して、令和6年(2024年)末現在における日本国内の在留外国人数および在留外国人の第1位の国籍の組合せとして最も適当なものを、次の①〜④の中から一つ選べ。

①:(在留外国人数)341万人 /(第1位の国籍)ベトナム
②:(在留外国人数)377万人 /(第1位の国籍)ベトナム
③:(在留外国人数)341万人 /(第1位の国籍)中国
④:(在留外国人数)377万人 /(第1位の国籍)中国
解答・解説

解答:④

在留外国人は、日本語教員試験の試行試験、令和6年度いずれにも出題されたテーマである。在留外国人の総数の推移や上位の国籍は必ずおさえておきたい。(2024年末現在:1位 中国、2位 ベトナム、3位 韓国)

ー問2ー

文章中の下線部bに関連して、令和6年(2024年)10月末現在における日本国内の外国人労働者数および外国人労働者の第1位の国籍の組合せとして最も適当なものを、次の①〜④の中から一つ選べ。

①:(外国人労働者数)205万人 /(第1位の国籍)中国
②:(外国人労働者数)230万人 /(第1位の国籍)ベトナム
③:(外国人労働者数)205万人 /(第1位の国籍)ベトナム
④:(外国人労働者数)230万人 /(第1位の国籍)中国
解答・解説

解答:②

外国人労働者は、令和6年度 日本語教員試験の基礎試験で出題されたテーマである。外国人労働者の総数の推移や上位の国籍は必ずおさえておきたい。(2024年10月末現在:1位 ベトナム、2位 中国、3位 フィリピン)

ー問3ー

文章中の下線部cに関連して、「日本語教育の参照枠」の言語教育観として不適当なものを、次の①〜④の中から一つ選べ。

①:学習者は、単に「言語を学ぶ者」ではなく、「新たに学んだ言語を用いて社会に参加し、より良い人生を歩もうとする社会的存在」として捉える。
②:社会の中で日本語学習者が自身の言語能力をより生かしていくために、 言語知識を持っていることよりも、 その知識を使って何ができるかに注目する。
③:母語話者が使用する日本語の在り方を学ぶべき規範、最終的なゴールとする。
④:各人にとって必要な言語活動が何か、 その活動をどの程度遂行できることが必要か等、目標設定を個別に行うことを重視する。
解答・解説

解答:③

「日本語教育の参照枠」における言語教育観では、「母語話者が使用する日本語の在り方を必ずしも学ぶべき規範、最終的なゴールとしない。」とされている。

ー問4ー

文章中の下線部dに関連して、「日本語教育の参照枠」の「言語活動別の熟達度 B1レベル」として不適当なものを、次の①〜④の中から一つ選べ。

①:学校などでふだん出合うような身近な話題について、明瞭で共通語による話し方の会話なら要点を理解することができる。
②:非常によく使われる日常言語や、自分の仕事関連の言葉で書かれたテクストなら理解できる。
③:単純な日常の仕事の中で、情報の直接のやり取りが必要ならば、身近な話題や活動について話合いができる。
④:身近で個人的に関心のある話題について、つながりのあるテクストを書くことができる。
解答・解説

解答:③

選択肢1は「聞くこと」、選択肢2は「読むこと」、選択肢4は「書くこと」のB1レベルの記述。選択肢3は「やり取り」のA2レベルの記述である。

令和6年度 日本語教員試験の応用試験(読解)では、B1レベルが出題テーマになっていたため、B1レベルの内容はおさえておきたい。「日本語教育の参照枠 報告」(https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/93476801_01.pdf

)の23ページを確認しておくことをすすめる。

ー問5ー

文章中の下線部eに関連して、「日本語教育の参照枠」における漢字学習の方針として不適当なものを、次の①〜④の中から一つ選べ。

①:ICTなどの様々な学習リソースを活用することも現代社会においては有効な手段となる。
②:語彙例を併せて示すこととし、読むこと(意味を理解できること)を中心とする。
③:必要な漢字には個人差があることから、今後の自律学習につなげるための学習方法や学びを促進するような活動を行うことが必要である。
④:学習者が漢字圏出身者か非漢字圏出身者かによらず、漢字学習における留意点は同じため、指導する上で留意する必要がある。
解答・解説

解答:④

「日本語教育の参照枠」における漢字学習の方針では、「学習者が漢字圏出身者か非漢字圏出身者かによって、漢字学習における留意点は異なるため、指導する上で留意する必要がある。」とされている。

「日本語教育の参照枠」においては、漢字を含む日本語の文字には学習者のレベルや置かれた状況によって、

・見て意味が分かればよいもの

・意味と読み方が分かればよいもの

・書けるようになることが望まれるもの

に分けられる、としている。日本語教師は、学習者のレベルや必要な言語活動、言語使用場面などによって、学習者に必要な漢字を含む文字を選定し指導していく必要がある。

【文章問題2】二人の日本語教師の会話(反転授業)

次の文章を読み、後の問い(問1~5)に答えよ。

ある日本語教育機関の同僚であるX先生とY先生が、上級文法クラスを対象としたオンライン授業について話している。

X先生

Y先生、来年度から上級文法クラスでオンラインを取り入れてみようと考えているんです。

Y先生

へー、それはいいですね。a同期型オンライン授業、非同期型オンライン授業bハイフレックス型授業など、いろいろな形式がありますが、どのような授業を考えているんですか?

X先生

動画を用いた反転授業をしてみようかと思うんです。

Y先生

なるほど!反転授業は、学生の学習スタイルの多様化で注目されるようになったもので、文部科学省が推進しているcアクティブ・ラーニングにもつながりますね。

X先生

そうなんです。授業の進め方は、まず事前動画で、文法項目が含まれる長めの文章を複数組と、それぞれについて簡潔な文法説明を行います。例えば、「食べることにする」と「食べたことにする」といった言語形式上はごくわずかな違いしかないけど、意味的にはかなり異なる文法項目を取り上げようと考えています。
授業では、小グループで文法項目の意味の違いを協働で考えさせて、話し合った結果をスライド形式のファイルやポスターの形で発表させようと考えています。

Y先生

言語能力を総合的に高めることができて、まさに上級レベルにふさわしい授業になりそうですね。
動画の配信や学生の事前学習の進捗状況の管理はどうやって行う予定ですか?

X先生

(ア)を活用しようと思っています。

Y先生

それは良い考えですね。
実施に当たっては、dインストラクショナル・デザイン(ID)の理論を活用することで、効果的、効率的な授業にしたいですね。

ー問1ー

文章中の下線部aに関連して、非同期型オンライン授業と比較した際に同期型オンライン授業に当てはまる記述として最も適当なものを、次の①〜④の中から一つ選べ。

①:非同期型オンライン授業に比べて、時間に縛られない学習環境を確保することができる。
②:非同期型オンライン授業に比べて、自律的に学ぶ力が必要なため、学習者によっては学習の継続が難しい。
③:非同期型オンライン授業に比べて、インターネット環境が不安定であることが問題になりにくい。
④:非同期型オンライン授業に比べて、会話練習のような双方向的なやり取りを伴う学習がしやすい。
解答・解説

解答:④

選択肢1〜3は、同期型オンライン授業に比べて非同期型オンライン授業に当てはまる記述である。

同期型オンライン授業は、テレビ会議などの双方向システムを用いて授業をリアルタイムで遠隔地に配信するもの。非同期型オンライン授業は、リアルタイムではなく、あらかじめ収録した授業動画や教材を配信するものである。

ー問2ー

文章中の下線部b「ハイフレックス型授業」の説明として最も適当なものを、次の①〜④の中から一つ選べ。

①:学習者が希望するデジタル端末を貸与し、教室内で自由に使用させる授業形態
②:授業前に動画視聴と確認テストを行い、その評価を基に教室で個別対応をする授業形態
③:学習者の都合で、あるときはオンラインで参加し、あるときは教室で参加したいといった希望に対応する授業形態
④:授業目的などにより、複数回の授業のうち一定数をオンラインで行い、残りを教室で行うようなオンライン授業と対面授業をブレンドした授業形態
解答・解説

解答:③

ハイフレックス型授業は、教室にウェブカメラなどを設置し、対面授業とオンライン授業を同時に行い、学習者が受講形式を選択できる授業形態。

コロナ禍によって急速に広まった授業形態であり、令和5年度 日本語教育能力検定試験にも出題されているためおさえておきたい。

ー問3ー

文章中の下線部c「アクティブ・ラーニング」に関連して、その土台となる学説には、ヴィゴツキー(L. S. Vygotsky) の「最近接発達領域(ZPD)」がある。「最近接発達領域(ZPD)」の概念に基づく考え方として最も適当なものを、次の①〜④の中から一つ選べ。

①:学習者は、状況や人間関係等の要因を考慮したうえで言語形式を選択し、発話することで習得が促進される。
②:学習者は、共同体の正式な構成員として社会的活動に参加し、参加の形を少しずつ変えながらより深く関与できるようになる。
③:学習者は、日常の中の小さな疑問から出発し、実践への転換、反省という過程を繰り返しながら、学びを拡張していく。
④:学習者は、教師や自分よりも能力が高い仲間と関わることで刺激を受け、学び、一人ではできないこともできるようになっていく。
解答・解説

解答:④

「アクティブ・ラーニング」とは、一方向的に知識の伝達・注入を行う授業ではなく、学習者が自ら能動的に学ぶように設計された課題解決型の学習方法である。

その土台となる学説の一つに、ヴィゴツキー(L. S. Vygotsky) の「最近接発達領域(ZPD)」がある。最近接発達領域(ZPD)は、学習者が一人では達成できないが他者の支援を受けることで達成可能な課題や能力の範囲のこと。令和3年度、令和6年度の日本語教育能力検定試験に出題されており、重要キーワードの一つである。

ー問4ー

文章中の(ア)に入れるのに最も適当なものを、次の①〜④の中から一つ選べ

①:LMS(Learning Management System)
②:LAD(Language Acquisition Device)
③:CBT(Computer Based Testing)
④:CLL(Community Language Learning)
解答・解説

解答

問題本文の「動画の配信や学生の事前学習の進捗状況の管理はどうやって行う予定ですか?」をヒントに最も適当な選択肢は1。

「LMS(Learning Management System)」は、インターネット上で、教材や学習者への資料・課題の配信や、学習活動についての管理、実施、報告を統一して管理することができるシステムのこと。

ICT教育に関連するキーワードは必ずおさえておきたい。令和6年度 日本語教員試験では、「LMS」「ブレンディッド・ラーニング」「eラーニング」「同期型オンライン授業、非同期型オンライン授業」に関する問題が出題された。そのため、この大問では問1、問2、問4に令和7年度に出題されると予想されるICT教育に関する問題を用意した。

ー問5ー

文章中の下線部dに関連して、「ガニェの9教授事象」を基に反転授業をデザインする際、通常の授業と比べてどのような変更が推奨されているか。最も適当なものを、次の①〜④の中から一つ選べ。

①:注意、関連性、自信、満足感の4つの側面から学習意欲を高める工夫を行う。
②:教室内では評価とフィードバックに絞り込み、その他の活動を事前学習にする。
③:授業の導入から情報提示までを事前学習にし、教室では対話的で実践的な活動を行う。
④:対面授業では、学習の成果を評価する活動を中心に構成する。
解答・解説

解答

「ガニェの9教授事象」は、インストラクショナル・デザイン(ID)の理論の一つ。授業の<導入><情報提示><学習活動><まとめ>という一連の流れの中で、効果的・効率的な授業にするための9つの事象(構成要素)を提示するもの。

反転授業では、従来の授業で行われる<導入>から<情報提示>にかけての活動を学習者が自宅や自学の時間に事前に行うことで、対面授業の時間をより対話的で、実践的な学習活動に充てることが推奨される。


【出典 一覧】

・日本語教育能力検定試験 試験問題

 著者・編者:公益財団法人日本国際教育支援協会
 出版社:凡人社
 出版年:各年度版毎年発行

・日本語教育能力検定試験 合格するための本

 編者:アルク日本語編集部
 出版社:アルク
 出版年:毎年年度版が発行(令和3年度版は2020年12月発売など)

・国家資格日本語教員試験 応用試験読解 解ける500問

 執筆:石塚ゆかり、内山百合子、江崎由美子、近藤かをり、
    遠山千佳、豊田早苗、西野一恵、早野香代、
  藤田裕一郎、宮本真有
 監修:坂本正(名古屋外国語大学名誉教授)
 出版社:コスモピア
 出版年:2025年6月

・日本語教育能力検定試験 対策問題集

 編者:アルク日本語編集部
 出版社:アルク
 出版年:2022年

・日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド第5版

 著者:ヒューマンアカデミー
 出版社:翔泳社
 出版年:2021年2月

・日本語教育能力検定試験 分野別用語集
 著者:ヒューマンアカデミー
 監修:伊藤健人
 出版社:翔泳社
 出版年:2018年3月

・図表でスッキリわかる日本語教育能力検定試験 合格キーワード1400

 著者:泉均
 出版社:晶文社
 出版年:2021年6月

・日本語教員試験 対策用語集

 著者:岩田一成、大関浩美、篠﨑大司、世良時子、
本田弘之
 出版社:アルク
 出版年:2024年4月

・試験直前これだけ!日本語教員試験 基本用語集

 著者:荒川洋平、伊東祐郎、伊藤茉莉奈、甲斐晶子、
   加藤好崇、栗田奈美、鈴木綾乃、高嶋幸太、
  高橋亘、幸松英恵
 出版社:アスク出版
 出版年:2025年6月

【監修者】

大根先生

(YouTubeチャンネル「研究 日本語教育能力検定試験」)

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2025年10月現在チャンネル登録者数は1.59万人

「楽しく、効率よく、確実に力を伸ばす」ための学習リソースとして、多くの受験生に支持されている。

チャンネルはこちら:https://www.youtube.com/@daikon_nihongo