日本語学校の教務、事務、教務事務の業務内容をわかりやすく解説

日本語学校では教務、事務、教務事務に担当が分かれています。

「教務の業務内容は何があるの?」
「日本語学校の事務の仕事内容は?教務との関わりはある?」
「教務事務は聞いたことがないけど….教務や事務とはどう違うの?」

このように思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

本記事では「日本語学校の教務職、事務職、教務事務の業務内容」について解説。

ぜひ最後までお読みいただき、参考にしていただければ幸いです。

日本語学校における業務内容とその特徴は?

日本語学校等で働く社員は、教務、事務に分かれて仕事をしています。
以下、それぞれの部署の業務内容についてお話していきます。

教務の業務内容

教務は日本語教師の先生方が所属している部署になります。

教務部のメインとなる業務は外国人学習者に日本語を教えることですが、実は日本語を教えること以外にもさまざまな業務があります。

授業以外の業務内容ですが、具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • 教材作成
  • テスト作成
  • カリキュラム作成
  • 非常勤講師への報連相
  • 学生の出席管理
  • 進路指導や就職指導
  • マナー指導や生活指導
  • 学校行事やクラス行事の企画・実施

それぞれの業務内容について解説していきます。

教材作成

「教材作成」は授業で使用する教材を作成する業務です。

授業では、教科書や問題集を使う場合もあれば、教師が自作したパワーポイント教材、プリント教材を使う場合もあります。

パワーポイント教材は、授業が入っていない時間内に準備をしています。

プリント教材は、印刷やホチキス止め等々、かなりの労力を割かなければならず、授業時間外の準備だけでは間に合わないことも多いです。

他のクラスと同じプリント教材を使う場合は、1部50ページ前後のものを200部近く刷ることもありとても大変です。

授業時間外の準備だけでは間に合わない場合は、その学期が始まる前の長期休み、春休みや夏休みの間に用意しています。

テスト作成

「テスト作成」は授業で使用するテストを作成する業務です。

日本語学校では、学期末テストのような大きなものから、平素の授業で行うミニテストまでいろいろなテストがあります。

学年末テストは学期ごとに必ず実施するテストで、内容は、文字語彙、文法、読解、聴解、会話、作文それぞれを分けて実施します。

学年末テストの結果は、学生の成績表として反映され、進学先や就職先に提出することになります。

平素の授業で行うミニテストは、語彙や文法の定着を図ることを目的としています。

これ以外にも、JLPT受験希望者向けのテスト、EJU受験希望者向けのテストなど、数多くのテストがあるので、テスト作成はもちろん採点も大変です。

カリキュラム作成

「カリキュラム作成」は授業のカリキュラムを作成する業務です。

学校によって多少は異なりますが、多くの日本語学校では、3カ月ごとにカリキュラムを作成しています。

3カ月の学習期間で、学生たちにどのような力を身につけさせるのか、文字語彙、文法、読解、聴解、会話、作文の科目間のバランスはどうか、学習進捗のペース配分はどうかなどを考えながらカリキュラムを作成していきます。

新卒や教師歴が浅い先生の場合は、カリキュラム作成時に、教務主任など上司の先生がアドバイスをくれたり、一緒に作成を手伝ってくれたりするので安心してください。

授業は作成したカリキュラムに沿って進んでいきます。

非常勤講師への報連相

「非常勤講師対応」は非常勤講師に報連相を行う業務です。

多くの日本語学校では、常勤講師と非常勤講師の両方で授業を受け持っています。

クラスによって、常勤講師のコマ数、非常勤講師のコマ数は異なります。

たとえ非常勤講師のコマ数が週に1時間だけだったとしても、常日頃から報連相を行うことで授業運営が円滑に運びます。

非常勤講師の先生によっては他校と掛け持ちをしている場合もあるので、タイミングを見ながら連絡するようにしましょう。

進路指導や就職指導

「進路指導や就職指導」は学生指導の一環で行う業務です。

日本語学校で学んでいる学生の多くは、日本の大学や大学院、専門学校に進学することが目的で、あるいは日本の企業に就職することが目的で日本語学校に通っています。

中には、3カ月未満の短期滞在者、日本在住者で生活のための日本語を学ぶことを目的としている人もいます。

日本語学校の進学就職指導では、面接練習、入学願書のチェック、大学院進学希望者には研究計画書の作成指導など、学生の進路実現のために最大限のサポートを行っています。

これらの業務は、昼休みや放課後などに指導することが多いです。

マナー指導や生活指導

「マナー指導や生活指導」も学生指導の一貫で行う業務です。

日本語学校によってそれぞれルールは異なると思いますが、主に教室内や校内で過ごす時のマナー、教師に依頼する時のマナー、日本で生活する上でのルールなどが挙げられます。

教室内で過ごす時のマナーは飲食や掃除など、校内で過ごす時のマナーは喫煙所やゴミ箱の使い方など、日本で生活する上でのルールは学生寮やアパートでの生活など、外国人学生にとってはなじみのないルールを丁寧に教えていきます。

学校によっては、生活指導の先生がいるところもあります。

学校行事やクラス行事の企画・実施

「学校行事の企画・実施」も教務で担う業務です。

日本語学校では、入学式、卒業式、スピーチコンテストなど、学校全体で実施する年中行事がたくさんあります。

円滑に学校行事を執り行うために、教務部と事務部が協力して、行事の企画や実施を行っています。
また、クラスの親睦を深めるために、季節の変わり目や、年度の切り替え時にクラス行事を行っている日本語学校も多いです。

教務の求人は下記よりご覧いただけます。

事務の業務内容

事務は事務スタッフが所属している部署になります。

事務スタッフには、日本人、学生と母語が同じ外国人スタッフがいます。
日本語学校の事務は、日本語学校特有の煩雑な手続きがあり、教務部とは違った忙しさがあります。

事務の業務内容ですが、具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • 留学ビザの申請
  • 海外学生募集関連業務
  • 各種書類の発行
  • 学費や寮費の管理
  • 生活指導などの学生サポート

それぞれの業務内容について解説していきます。

留学ビザの申請

「留学ビザの申請」は事務が担う最も重要な業務です。

「留学ビザ」は、日本国内の日本語学校や大学、専門学校などに通う外国人に対して発行されるビザのことです。

留学ビザは入国から1年または1年3カ月在留が認められ、在留が認められると在留カードが発行されます。更新は最長で2年間認められます。

事務では、学生に入学許可証を発行後、学生から必要書類を送付してもらい、今度はその書類を出入国管理庁(入管)へ届け出てビザの申請手続きをします。

入管での書類審査ですが、申請から2カ月から3カ月間かかります。

無事に審査が通ると、在留資格認定証明書が日本語学校側に郵送で届きます。

届いた在留資格認定証明書を入学希望者にデータで通知し、それを持って現地の日本大使館に申請すると留学ビザが下りるという流れです。

事務では、このような大変な作業を、学生の入学時期に合わせて行っています。

海外学生募集関連業務

「海外学生募集関連業務」も事務が担う業務です。

日本語学校は、学生が来日してくれないことには経営自体が成り立ちません。

事務は海外にあるエージェントと連携したり、あるいは現地に視察に行ったりしながら、なんとか自分の学校に入学してもらうよう働きかけます。

最近では、海外向けに発信するウェブサイトやSNSなどを活用し、広報を行っている学校も多いです。

各種書類の発行

「各種書類の発行」も事務が担う業務です。

事務のほうで発行する書類は、日本語学校の入学許可証、学生への授業料や寮費の請求書などがあります。

このような事務から発行される書類は、教務や教務事務に共有されることはほとんどなく、学生と事務のやりとりだけです。

学費や寮費の管理

「学費や寮費の管理」も事務が担う業務です。

日本語学校は最大で2年間在籍できますが、その間の学費や寮費は事務で管理しています。

学費は年間で一括納入のところもあれば、半年ごとに分けて納入するところもあります。

学生によっては学費や寮費を滞納する人もいるので、そういった学生には事務のほうから母国の両親に連絡をとり、再度入金期日を設けて、振り込んでもらうよう依頼します。

生活指導などの学生サポート

「生活指導などの学生サポート」も事務が担う業務です。

教室内の生活指導は教務部の仕事ですが、構内や住居内における生活指導などは事務スタッフが担当することが多いです。

生活指導のほかにも、アルバイトのサポート、役所や病院への手続きなど、学生の生活全般に関わることを見てくれます。

日本語学校に入学したばかりの学生、母語で話をしたい学生などは、母語が同じ外国人スタッフに相談することがよくあります。

学校によっては、外国人スタッフによる24時間のサポート体制が整っているところもあるほどです。

事務職員の求人は下記よりご覧いただけます。

教務事務の業務内容

教務事務は、事務スタッフないしは教務スタッフが所属している部署になります。

学校によっては、事務部の中に教務事務があるところと、教務部が教務事務も兼任しているところがあるので、面接の際に確認してみるのがよいかと思います。

教務事務の業務内容ですが、具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • 非常勤講師の労務管理
  • 在籍する学生の出席管理
  • 在籍証明書・成績証明書・推薦書の作成

それぞれの業務内容について解説していきます。

非常勤講師の労務管理

「非常勤講師の労務管理」は教務事務で担う業務です。

非常勤講師の給料は、時給、またはコマ給の2つがあり、学校によって異なります。

先生によって出勤する曜日、時間帯も異なり、経験年数や勤続年数によってお給料も変わってくるのできちんと管理しなければなりません。

その他にも、毎月の交通費の計算、講師から有給休暇や社会保険の申請があった場合の手続きなどがあります。

在籍する学生の出席管理

「在籍する学生の出席管理」も教務事務で担う業務です。

日本語学校では、在籍学生の出席率がどれくらいかを毎月計算しています。

出席率は非常に細かいのが特徴で、出欠席のほかに、遅刻、早退、インフルエンザなどの感染病にかかった場合には出席停止など、1コマごとに名簿で管理しています。

出席率が著しく悪い学生に対しては、注意、警告、訓告などがあり、場合によっては除籍処分になる可能性もあります。

学生側も、出席率の良し悪しが進学や就職に影響するのが分かっているので、そういった意味でも出席率の正確さは重要です。

在籍証明書・成績証明書・推薦書の作成

「在籍証明書・成績証明書・推薦書の作成」も教務事務で担う業務です。

在籍証明書は、学生がその学校に在籍していることの証明で、学生が在籍している期間のみ発行することができます。

学生が卒業した場合は、在籍証明書ではなく卒業証明書になります。

成績証明書は、学期末テストの結果を反映した証明書で、文字語彙、文法、読解、聴解、会話、作文の6項目があります。

成績証明書内に、学生の出席率が表示されているので、大学や企業側は成績証明書を見て、学生の出席率を把握していることになります。

推薦書は、大学や企業に提出を求められた際の書類です。

進学先や就職先によっては、日本語学校から推薦書の提出を求めてくるところもあり、この場合は、規定の書式に沿って推薦書を作成することになります。

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教務と教務事務を分ける時のメリットやデメリットは?

教務と教務事務を分ける時のメリットですが、それはもちろん、それぞれが担当する業務だけに注力できることでしょう。

業務に注力することで、タスクを処理するスピードが上がる、生産性が上がる、時間的ゆとりが持てるなどメリットはたくさんあります。

教務と教務事務を分ける時のデメリットは、担当以外の業務は分からないので一切できないという点です。

例えば、教務事務で傷病休暇、産休休暇などで欠員が出た時に、教務と教務事務の業務を兼務していなかった場合、より少ない人数で教務事務の仕事を回さないといけなくなります。

最悪の場合、ワンオペで仕事を回すような可能性も出てきます。

教務と教務事務を兼務するのか、教務と教務事務で分けるのかは、それぞれにメリット・デメリットがあります。

日本語学校によっても学校ごとに経営方針が異なるので、教務と教務事務、それぞれの業務をどう効率よく円滑に回していくかは大きな課題です。

まとめ

本記事では「日本語学校の教務職、事務職、教務事務の業務内容」を解説してきました。

日本語学校における業務内容は….

  • 教務の業務内容:教材作成、テスト作成、カリキュラム作成、非常勤講師への報連相、学生の出席管理、進路指導や就職指導、マナー指導や生活指導、学校行事やクラス行事の企画・実施など
  • 事務の業務内容:留学ビザの申請、海外学生募集関連業務、各種書類の発行、学費や寮費の管理、生活指導などの学生サポートなど
  • 教務事務の業務内容:非常勤講師の労務管理、在籍する学生の出席管理、在籍証明書・成績証明書・推薦書の作成など

教務と教務事務を分ける時のメリットやデメリットは….

  • メリット:教務、教務事務が担当する業務だけに注力できる
  • デメリット:担当以外の業務は分からないのでできない

どの日本語学校にも、教務、事務、教務事務があり、教務も、事務も、教務事務も学生をサポートしていく上でどれも必要不可欠な仕事です。

あなたに合ったポジションでご活躍できることを願っています。

日本語学校 業務内容 ロゴ

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