日本語学校インタビュー|東京国際大学付属日本語学校について事務局長と教務主任に直撃インタビューしてきました!
今回は東京都新宿区、高田馬場駅から徒歩4分の場所にある「東京国際大学付属日本語学校」に潜入して取材をしてきました!(※取材日 : 2024年6月28日)
今回インタビューにご協力いただいたのは事務局長の細川 和秀 さん、教務主任の肥田野 美和 さんです。
学校や教育の特徴について聞いてきました。
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よろしくお願いいたします!
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
東京国際大学付属日本語学校について教えてください!
まず、東京国際大学付属日本語学校の教育理念について教えてください!
母体となる東京国際大学は相手を敬う心(公徳心)を大切にすることを理念としています。
本校も、東京国際大学の付属として、この理念を体現する努力をしています。
そのために、日本語を単なるコミュニケーションツールとしてではなく、日本語の根底にある他者を敬い尊重し理解する考えに基づく 「品格ある日本語」が身につくように努めています。
公徳心ですか。
人間教育の根本的なことを重視されていらっしゃるのですね。
具体的には、どのようなことを大切にしていますか。
教育理念を体現するために、本校では挨拶を重視しています。
挨拶は「あなたのことを大切に思っているよ」ということを相手に表現する言葉でもあります。
授業の開始時と終了時の教師・学生間で交わされる「礼」もそうです。このような日常的な行動の中から自然と相手を敬う気持ちが身につくように指導しています。
また、茶道、華道、書道など日本精神に触れる課外活動も充実させ、校内に茶室をしつらえています。
様々な活動を通じて、公徳心を備えた人として本校を巣立っていって欲しいと願っています。
たしかに、率先して挨拶する、積極的で明るい学生が多い印象を受けました。
在籍する学生は、どこの国の方が多いのでしょうか。
在籍している学生は、創学時から台湾と韓国出身の学生が多いです。
現在は台湾と韓国の学生が合わせて60%くらいおり、他には東南アジア出身の学生が多くいます。
台湾と韓国からの学生が多いんですね!
ありがとうございます。
大学付属の日本語学校ということで、大学・大学院に進学する学生が多いのでしょうか?
そうですね。
進学を志す学生は多いです。
前年度の卒業生は、60%が大学や専門学校への進学、30%が帰国、10%が日本国内で就職という内訳になっています。
帰国した学生には、日系企業に就職した学生や、起業した学生もいます。
春に実施した進路調査においても、進学希望の学生が多かったです。
そうなんですね!
たしかに、アジア圏では、最近では帰国して自身で起業する学生も多いと聞きます。
進学が6割とのことですが、進学にあたって学生はどのようなサポートが受けられるのでしょうか。
母体である東京国際大学と提携を結んで、本校卒業生が東京国際大学へ進学する際の奨学金や学費減免などの制度を設けています。
学業に向き合って欲しいとの思いもありますし、学業に集中できる環境を整備していますので、アルバイトはあまり推奨していないです。
なるほど。先ほど掲示板で、企業や団体から奨学金が給付されているのを見かけました。
学業に力を入れている学生が多く、またそれを後押しできる環境が整っているのは魅力だと思います。
そうですね。
真剣に授業や課題に取り組む学生がとても多いです。
学校や教材の特徴について教えてください!
東京国際大学付属日本語学校は進学を志す学生が多いとのことですが、授業やカリキュラムの特徴について教えてください!
本校は全日制と半日制が併設されており、授業時間数が違います。
全日制の学生は中級になると、週20コマは基礎クラスで、週6コマはEJU対策・JLPT対策・ビジネス日本語と、目的別に授業が選択できるようになっています。
半日制の学生もオプションで選択授業が受けられるようになっています。
また、日本語学校では珍しいと思いますが、上級クラスでNIE(Newspaper in Education) を取り入れ、新聞を通して、世の中の動きを知り、国際感覚を身につける授業を通年科目として設けています。
学校で一般誌と小学生新聞を定期購読しています。
そうなんですね!
2階の図書室の近くに新聞が置いてありましたが、NIEの授業で使われる新聞だったのですね!
教科書は何を使用されていますか?
教科書は「できる日本語」を使用しています。
「できる日本語」で教えたことがない先生も多いですが、採用面接通過後にこのテキストの構成をお伝えして、「できる日本語」で模擬授業をやっていただいています。
「できる日本語」を使用していらっしゃるんですね!
「できる日本語」を使用している日本語学校はまだまだ少ないと思うのですが、メイン教材として使用している理由はありますか?
実は「できる日本語」を使用する前に、オリジナルテキストを使用していたのですが、それが場面シラバスの教科書だったんですね。
「オリジナルテキスト」を使用していらっしゃったんですね!
最近「できる日本語」をメイン教材にする日本語学校が増えてきていると感じるのですが、貴校がメイン教材を切り替えることにしたきっかけやタイミングは何だったんですか?
一番はことばが古くなっていったことが理由です。
オリジナルテキストの古いことばのズレを修正するよりは、テキストを変えた方が良いんじゃないかということになりました。
時間の経過とともに教科書に掲載されている語彙も古くなり、また以前の校舎がモデルになっていて、移転後にそのまま使用しにくい状況でした。
そのような中、「場面シラバス」でもある「できる日本語」が発売されて、副教材も充実していたので、「できる日本語」をメイン教材として選びました。
ことばの移り変わりは激しいですよね。
次に教室の設備に関してお聞きしたいのですが、ホワイトボードやプロジェクターの仕様など、いつ頃から電子機器を取り入れられてきたのかお伺いしてもよろしいでしょうか。
今の校舎に移転したのが2011年ですが、移転のタイミングで大きなホワイトボードが設置されました。
新しくいらっしゃる先生はホワイトボードの大きさに驚かれます!
プロジェクターは2016年に全教室に設置されました。
パワーポイントで作ったものを映し出した方が授業中、時間の節約にもなるのでスライドを投影する教員も増えていきました。
移転後に取り入れたのですね!
先ほど教室を見学させていただきましたが、教室の端から端まであるくらい、大きいホワイトボードが印象的でした。
新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに変えられた学校様もあると思うんですが、新型コロナウイルス感染症の影響はありましたか?
オンライン授業に切り替わった際に、先生方の教材作成が本当に大変でした。
それで、教務の方でメインテキストと漢字のパワーポイント教材を作って、共有する形にしました。
コロナが終息してからもスライドを教室用に修正して、教師全員で使っているという感じです。
ありがとうございます。
影響が大きく、大変だったかと思いますが、使用教材は先生方で共有するという現在のベースができたんですね。
はい。
教務が作成したスライドがあれば最低限授業を進められるようにしていますが、肝となる導入部分はしっかり考えてきてもらっています。
パソコンは全教員分用意しており、データがあればすぐに教室のプロジェクターに投影できるようになっています。
また、可能な限り対面で授業の引継ぎや共有をするようにしたり、授業記録はGoogleのスプレッドシートで全教員で共有し、学生の様子を細かく記入するなど、共有や連携が円滑にできていると思います。
ありがとうございます。
共有の体制が整っているのですね。
講師室で引き継ぎされている先生方を見て、先生がお互いを信頼しているのを感じました。
タブレットがあるとお聞きしたのですが、タブレットについて伺ってもよろしいでしょうか?
タブレットは先生用というわけではなく、学生用として準備しています。
パソコンを持っていない学生も多いので、調べ学習や発表のプレゼン資料を作成する時に、学生にも使ってもらっています。
授業の中で、テーマに沿った調べ学習をした上での「発表」活動を積極的に取り入れているのですが、その授業の際にもタブレットを使用しています。
なるほど。
タブレットは先生に支給されるのではなく、学生用のタブレットなんですね。
先生と学生の関係性についてはいかがでしょうか?
学生と教職員の関係は、「親しき中にも礼儀あり」ができていると思います。
お互いに敬意を払う関係性ができており、「学生の質の良さ」が当校の最大の売りだと自信を持って言えます。
素敵な関係性ですね。
学生の生活面や進路のサポート体制についてもお聞きしてよろしいでしょうか?
生活面やアルバイトのことですと、事務局の方にもフォローしていただいて、母国語で話を聞いていただくなどの対応をしています。
進路に関しては、専門職員がおり、相談室があるので、そこに行けば色々な情報を得られます。
教員の教務以外にかかる負担が少ない点は非常に助かっています。
教務に集中できる環境が整っているのですね!
一緒に働きたい先生について教えてください!
現在、講師の先生方は何名ぐらい在籍されていますか?
現在、専任講師・非常勤講師合わせて40名おります。
年代は20代から60代までバランス良く在籍しています。
多くの先生が在籍されているのですね!
勤務開始前に教員ミーティングがあるとお聞きしたのですが、ミーティングや研修など具体的なサポートについてお聞きしてもよろしいでしょうか?
新任の先生には、教員ミーティングの前に校内のことや授業のことについての研修の機会を1日設けています。
具体的には、先ほどお話した「できる日本語」の進め方や手続きについてお話しして、本校のことを知ってもらっています。
教員ミーティングは4月と10月に行われるんですが、同じクラスを担当していても出勤日の関係で顔を合わせる機会が無いので、クラス運営について入念に話し合っています。
ありがとうございます!
「できる日本語」に慣れていない先生も安心ですね!
次に、東京国際大学付属日本語学校が求める日本語教師像について教えてください!
そうですね、経験に関わらず、日本語学校や日本語教育界に関する情報にアンテナを張り、ご自身でキャッチしていらっしゃる方はいいなと思います。
また、学生の立場に立って考えられ、悩んでる学生がいたら一緒に悩み、考え、厳しいことも伝えられる先生がいいなと思います。
学生にしっかりと向き合う姿勢は欠かせないですよね。
そうですね。
他には常に自分の授業を良くしようとする向上心がある方、報連相をしっかりできる方と一緒に働きたいですね。
とても大事ですね。
お二人について教えてください!
細川事務局長・肥田野教務主任が、日本語教育に関わり始めたきっかけを教えてください!
私が日本語教員になろうと思ったのは、私が高校生の時に近所に18 歳でフィリピンから農家にお嫁に来た方がいて、その人との交流がきっかけでした。
その方とはそれぞれ拙い英語と日本語で交流していたのですが、ことばや生活習慣の違い、お姑さんとの関係などの話を聞くうちに、日本に住んでいる外国人のサポートをしたいと思うようになりました。
それで、高校卒業後に日本語教員養成課程がある教育機関に進みました。
そうなんですね!
ありがとうございます。
私は今年の4月に赴任してまいりまして、それまでは東京国際大学の大学職員として長年勤務していました。
ですので、日本語教育界を志望してきたというわけではありません。
ただ、大学に入って多くの留学生と出会い様々な文化や考え方に触れることは自分にとっても刺激になりましたし、彼らの留学に微力ながらお手伝いできていると感じるときは大きな喜びにも繋がりました。
日本語学校でも同様に、留学生の将来の夢の実現に関われることを大変嬉しく思います。
ありがとうございます!
長く日本語教育に携わっていらっしゃると思うのですが、携わる中で、やりがいや困難に感じられることはありますでしょうか?
やりがいは、日々、学生の成長を見て感じています。
また、嬉しいのは 「出会い」に関われることです。
学生と教職員、学生同士など、その「出会い」を間近で見られるのはとても嬉しいです。
今後の日本語教育についてどう思われますか?
日本語教師の国家資格化が進んでいるなど、日本語教育の業界は過渡期にあると思いますが、今後の日本語教育はどのようになっていくと思われますか?
日本語教育機関の認定制度や登録日本語教員の資格制度創設は、数々の課題はありますが、長い目で見ると日本語教育機関の質を向上させていくのではないかと期待しています。
国家資格化に関する情報は、常に教員と共有しています。
講習室に資料を貼って、今後どうすべきかを教員と共有するようにしていますし、今後認定校の申請手続きをしていこうと準備している段階です。
なるほど。
みなさん手探りで対応が大変だと思うのですが、課題などありますでしょうか?
移行するためにかかる費用や時間、手続きの煩雑さに負担を感じてしまうことでしょうか。
しかし、国家資格があると、見られ方は変わるのかなと思います。
そして、日本語学校や日本語教育界全体がもっと日本社会に知られていけばいいなと思っています。
たしかに、国家資格化による日本語教師の認知度や抱かれる印象がどう変わるかは注目ですね。
今年度から新たな資格に変わり、新試験を受けられる方もいらっしゃると思いますが、資格の取得支援など、何か実施予定のものがあればお聞かせください。
本校では資格取得のための一定の費用補助も行っております。
今後入職されるその先生についても、フォローしていきたいと考えていますので、安心して相談いただければと思います。
日本語教師を志す方々に向けてメッセージをお願いします!
最後に、新人/未経験の日本語教師の方や、日本語教師を志している方に向けてメッセージをいただけますか?
日本語教師になろうと思われる方にはいろんなきっかけがあると思うんですけれども、外国人のサポートをしたいという気持ちが強い人が多いと思います。
その中で、日本語教師の役割って職員の方もそうなんですけれども、日本社会に対して外国人の立場に立って意見できる存在かなと思っています。
日本人に対しては外国人がどう考えているか、何に困っているかについて伝えられますし、学生に対しては日本人との関係の構築の仕方を伝えられる。
日本語教師はそのような橋渡しの存在だと思っています。
橋渡しですか。
素敵な表現ですね。
ただ日本語を教えるだけではないということを意識してほしいですね。
日本人からは、日本語なんて誰でも教えられるでしょって思われることが、やっぱりまだまだあるんですけれども、資格を取って技術や経験をもとに教えているということに誇りを持ってほしいと思います。
たしかに。
日本語教師がどのような意識でいるのかということは非常に大事ですね。
最近様々な企業で特定技能の方を受け入れたり、外国人の方だけではなく、日本人社員に向けても研修を実施するところが増えてきてるようですので、もしかしたら日本語教師の役割の幅も広がってくるのかもしれませんね。
日本社会は、これから益々外国人に対する日本語教育のニーズが高まってきます。
それは労働力人口が減少している日本の必然とも言えます。
日本語教育は日本における生活者のためだけでなく、日本と世界を繋ぐ人材育成にも及びます。
日本の産業のグローバル展開のためにはそのようなハブになる人間を育てることも必要です。
このように日本語教師の役割は非常に大きなものになりつつあります。今後、日本語教師のニーズと遣り甲斐は益々高まっていくものと思われますので、高い志を持って活躍していただきたいと思います。
お二人とも、ありがとうございました!
東京国際大学付属日本語学校 まとめ
所在地 | 〒169-0075 東京都新宿区高田馬場 4-23-23 ※ 高田馬場駅から徒歩4分 |
在籍学生 | 台湾、韓国、ベトナム、ネパール、ミャンマー、フィリピン、インドネシア、マレーシア、欧米圏 など |
教育設備 | 全教室ホワイトボード・プロジェクターを完備、教員用PC ※ 学生が授業で使用するタブレットの貸し出しあり |
取材させていただきました、細川事務局長、肥田野教務主任、また学校のご関係者のみなさま、本当にありがとうございました!
編集後記:
取材日が七夕の近くだったため、短冊に願いを込める学生が多くいました!
今年はJLPT試験と七夕が偶然にも同日でしたね。
合格祈願がたくさん飾られているのがとても印象的でした。
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