日本語教師の採用時には模擬授業があります。
「近々、模擬授業をしなければならない。何から手をつけたらいい?」
「前もってきちんと準備をしておきたい。模擬授業でよく出題される文型はある?」
「養成講座で模擬授業はやったけどすごく不安。未経験は何に気をつけたらいい?」
このように思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
本記事では「日本語教師の模擬授業」についてどこよりも分かりやすく解説。
模擬授業でよく出題される文型、未経験や新卒が気をつけたほうがいいことについてもお話していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、参考にしていただければ幸いです。
日本語教師が模擬授業で意識すべきことは?
まず、日本語教師が模擬授業で意識すべきことはどんなことがあるでしょう。
模擬授業をしている間は、終始どんなことに気を配ればいいでしょうか。
実は日本語教師が模擬授業で意識すべきことは案外シンプルです。
以下に、模擬授業で意識すべきポイントを解説していきます。
ハキハキ話す
日本語教師が模擬授業で意識すべきポイントの1つ目は「ハキハキ話す」ことです。
対面授業では特に、教師の声が明瞭であるか、教師の声が学習者にとって聞き取りやすいかどうかが見られています。
またハキハキ話しながら授業を行う教師は、自信があるように見えますし、何より授業の雰囲気が明るくなります。
模擬授業ではハキハキ話すことを心がけましょう。
未習語彙を使わない
日本語教師が模擬授業で意識すべきポイントの2つ目は「未習語彙を使わない」ということです。
模擬授業でもそうですが、普段の授業で学習者に教える時も未習語彙は扱いません。
これは未習語彙を見たり聞いたりした学習者が混乱してしまうからです。
教師が未習の語彙を使っていないかどうかは、面接官がチェックするポイントの一つですので、語彙を提示する時は意識しましょう。
学習者に発話させる
日本語教師が模擬授業で意識すべきポイントの3つ目は「学習者に発話させる」ということです。
模擬授業では、教師から学習者へ一方向的な授業を行っていないかどうかがチェックされています。
教師の説明や指示は必要最小限に行い、授業では学習者にどんどん発話してもらいましょう。
学習者に発話してもらう場が多ければ多いほど、学習者にとっては気づきがたくさん得られる授業なので良い授業だと言えます。
未経験の場合は難しいと感じるかもしれませんが、”意識してコントロールしようとしている”ことが面接官に伝わることが重要です。
日本語教師の模擬授業でよく出題される文型は?
日本語教師の模擬授業で出題される文型は、学校によってそれぞれ異なります。
「模擬授業当日はこの文型を授業してください」というふうに、先方から該当の文型をあらかじめ指定されていることが多いです。
模擬授業当日、どの文型を行うかをその場で言われることはまずないので、この点は安心していただいて大丈夫かと思います。
また、学校によっては「『みんなの日本語』〇課を授業してください」のように、日本語の教科書が指定されることもあります。
その場合は、指定された日本語の教科書で授業を行ってください。
それでは、出題されやすい文型を以下にいくつか挙げていきます。
~にあげます/~にもらいます
あげもらい表現、授受表現は模擬授業でもよく出題される文型です。
当然、授業で扱う語彙は、学習者がこれまでに習ったものを使うようにします。
対面で行う場合、学生役に物を渡しながら「〜にあげます」「〜にもらいます」を練習させたほうがいいでしょう。
オンラインで行う場合、矢印などを使って物の移動を分かりやすくしましょう。また、ポインターなどを使って物の移動を示すことも有効です。
て形/て形ください
「て形」のグループ分け、「て形ください」は模擬授業では頻出する文型です。
「て形」は2グループ、3グループ、1グループの順で教えます。
「て形」の動詞のグループ分けが終わっている前提で進めるのかは、面接官に事前に確認しておきましょう。
「て形ください」は指示、依頼、勧めの3つの意味があるので、どう使えばいいかを導入時に学習者が理解できるように導くことが大切です。
ない形
「ない形」も模擬授業でよく出題される文型です。
「ない形」も「て形」と同様、2グループ、3グループ、1グループの順で教えます。
2グループと3グループは動詞のます形を見せて「ますを取って ”ない” をつけます」と教えます。
1グループは「動詞のます形の前をイ段からア段に変えて “ない” をつけます」と教えます。
た形
「た形」も模擬授業でよく出題されます。
「た形」も2グループ、3グループ、1グループの順に教えるのがよいです。
2グループと3グループはて形を見せて「てを取って“た”をつけます」と教えます。
「て形」が理解できていれば「た形」の理解もスムーズです。
動詞受身形
「動詞受身形」も模擬授業で出題されることが多い文型です。
「動詞受身形」も2グループ、3グループ、1グループの順で教えるのがよいでしょう。
2グループは「ます形のますを取って、られますをつけます」と教えます。
3グループは「きます→こられます」「します→されます」というふうに特別な形で教え、1グループは「“iます”を“aれます”に変えます」と教えます。
未経験や新卒の日本語教師が気をつけるといいことは?
未経験や新卒の日本語教師が気をつけるといいことはどんなことがあるでしょうか。
「経験者じゃないから、きっと面接官から厳しい目で見られるのだろうな….」
このように心配したり、不安になったりする必要はありません。
採用する側も、あなたが未経験や新卒なのは分かっている前提で、採用面接の場を設けてくれているからです。
例えば、未経験や新卒の日本語教師が意識しておくといいのは以下のようなことです。
- 学習者の目を見て授業ができているか
- 学習者に寄り添った授業ができているか
学習者の目を見て授業ができているかどうかはとても重要です。
自信がないとどうしても伏目がちになってしまうこともありますが、授業の進行は教師が作っていくものです。
学習者の目を見て授業ができるよう、本番でも意識しましょう。
また、学習者に寄り添った授業ができているかどうかも重要です。
指定時間内で授業を進めることも大切ですが、それ以上に、学習者の視点に立って、学習者主体で授業を展開しようとしているかのほうがもっと大切です。
学習者に寄り添った授業ができるよう、本番でも意識しましょう。
模擬授業の際に気を付けるポイントについては、下記日本語学校のインタビュー記事も参考になりますので、ぜひご一読ください。
まとめ
本記事では「日本語教師の模擬授業」について解説してきました。
日本語教師が模擬授業で意識すべきことは….
- ハキハキ話す
- 未習語彙を使わない
- 学習者に発話させる
日本語教師の模擬授業でよく出題される文型は….
- ~にあげます/~にもらいます
- て形/て形ください
- ない形
- た形
- 動詞受身形
未経験や新卒の日本語教師が気をつけるといいことは….
- 学習者の目を見て授業ができているか
- 学習者に寄り添った授業ができているか
模擬授業は、あなたの日本語指導のスキルを披露する場です。
事前準備をしておけば、本番は自信を持って迎えることができます。
本番の模擬授業でやり切ったと言えるよう、準備万端で臨んでくださいね。